「冷蔵庫に梨が入っとるよー」
学校から帰ってくるとおばあちゃんが教えてくれた。「ありがとうー」と言いながら、テレビをつけて再放送のドラマのチャンネルに合わせる。それを横目で見ながら、冷蔵庫から梨を取り出す。指の毛細血管が縮むくらいに冷えた梨は、甘くて最高においしかった。
ちょうどいい豊かさとは
寝る前にどうでもいい考えごとを始めてしまうときがある。
繁忙期で休日出勤をしている日が続いていた。残業時間が多いから給料はいつもより高い。加えて、使う時間はないから貯金は増える。でも、寝不足で朝は全然起きれないし、鼻の横には大きめのニキビができてしまった。
ああ、幸せってなんだろうなぁ。
大富豪とか有名企業の名誉会長とか、なんかそういうのじゃない答えがほしい。莫大な資金力や強大な権力を持ち出されたらちょっとかなわない。なれる気がしないから。できたら今からでも目指せるやつがいい。
だったら「ちょうどいい豊かさ」とは何だろうか、と考え始めた。
旬の果物を食べること
旬の果物を食べることには、いろんな豊かさが隠れている。
- 栄養的な豊かさ…果物を食べるとビタミン、ミネラル、食物繊維のような栄養が取れる。たぶん果物を食べることでしか得られない栄養もあるのではないか。生きる上で栄養って大事。
- 経済的な豊かさ…食べるには買ってこなくてはいけない。米や肉、野菜と比べると果物の優先順位はどうしても下がる気がする。そんな果物を手に取りレジに持っていける程度の経済力があると嬉しい。
- 時間的な豊かさ…買ってきた果物はおいしく食べたい。イチゴなんて1週間も放っておけば底がグジュっとなってしまう。リンゴは皮を剥くために包丁を使う。計画的に食べるための、ひと手間をかけるための時間の余裕が必要だ。
- 教養的な豊かさ…果物には旬もあれば産地もある。桃鉄をやると都道府県の名産を覚えちゃう的な効果が果物にもある気がする。旬や産地を知っていればよりおいしい果物を選ぶことができる。
- 人間関係的な豊かさ…一緒に食べる家族がいる。おすそ分けしてくれる近所の人がいる。贈ってくれる友だちがいる。果物が絡む人間関係ってなんかいい。
つまり好奇心を行動に移すこと
スーパーで「ネクタリン」と名前の付いた果物を見つけた。小さめの桃みたいだ。好みの味かは分からないけど買って食べてみる。…ちょっと酸っぱかった。
意識的に果物を買うようになってから、好奇心があることも豊かさのひとつではないかと思うようになった。知らないことを理由に通り過ぎるのではなく興味を持つ。さらに、行動に移す総合的な余裕を持ち合わせて初めて「ちょうどいい豊かさ」が成り立つ。
そうだ、やりたいと思ったことはどんどんやっていこう。そんな人生がいい。
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